ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの68歳の老人の日記です

ブログ小説

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その109

お祖父さんはそのことは雪子には言いませんでした。 花婿候補を親類縁者・従業員・近隣住民の中から選びました。 働き者でそれなりの学歴と財産を持つものです。 それに1番雪子を幸せにする者です。 お見合いをさせることにしたのですが3人同時とはいきません…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その108

卒業して3年が経った春お祖父さんは病気がちになりました。 もう90歳を超えて気丈なお祖父さんも早く秋月家の承継者を見届けたいと考えていました。 早く雪子に養子をもらいたいと思っていたのです。 雪子に「好きな人はいるのか」と聞きましたが答えません…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その107

雪子が勤める薬局は立地もよかったので売り上げは伸びていました。 雪子は一応管理薬剤師と言うことになっていて検査の時は絶対に薬局にいないといけないことになっています。 夜間はともかくお昼は必ずいる必要があって弁当をお店の休憩室で食べていました…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その106

篠原君が結婚して子育てしていた頃雪子は仕事に悪戦苦闘中でした。 秋月家は代々晩婚です。 秋月家の当主になる人は適切な人でないと秋月家を頼りにしている一家郎党が路頭に迷うことになります。 見極めるためにも晩婚なのです。 そんな中お祖父さんは焦っ…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その105

雪子が薬剤師として悪戦苦闘しているときに篠原君はお見合いをしていました。 篠原君の母親は事業を篠原君に引き継いでもらいたかったのです。 早く身を固めて子孫を残して事業承継をスムーズに行うよう考えていました。 篠原君は雪子のことを諦めきれません…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その104

朝ご飯を食べて出勤です。 お祖父さんから会社のことについては何も言われないので出社するしかありません。 出社と言っても門を出たところですがいつものように店出しから始まります。 手の握力が少しだけ付いて店出しの困難は少しだけ和らいだように思いま…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その103

辛く長い数日が過ぎました。 4月2日になりました。 家で1番早起きの使用人が新聞を取ってきました。 お祖父さんは地方版をまず見ました。 名前が書いてあったのです。 当時は現代と違って個人情報云々と言いませんので薬剤師試験合格者名簿として発表されて…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その102

さすがに仕事初日は疲れたし失敗ばかりだったしやる気をなくしたしさんざんでした。 このまま一生仕事をするかと思うと悲しくなります。 次の日は少し離れていると考えた同僚たちはいろんな事を言いつけました。 雪子は一日で覚えるようなことはありません。…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その101

重いものを持ったことがない雪子には辛い仕事もありました。 朝行くとまず品出しです。 商売は前だしですので店の前にトイレットペーパーやティッシュシャンプーなどを並べるのです。 社長の孫だからと言って優遇しないと他の店員には言われているので新入り…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その100まで

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」 あらすじ江戸時代からつづく名家の秋月家に生まれた雪子はお嬢さまとして育ちました。 秋月家自体は大きく変わっていく時代の流れに対応して事業を拡大していきました。 そんな家族と使用人そして使用人の子供で親友…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その99

真知子は東京の国立の建築系の大学に合格が決まっていました。 雪子が薬剤師試験に合格さえすれば真知子に子供のときから与えられていたすべてのミッションをクリアしたことになります。 朝早くから夜遅くまで1対1で教えました。 当時の薬剤師試験は過去問を…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その98

普段は絶対に出てこない篠原君が出てきたのです。 篠原君は「幸せになって下さい」とだけ言って消えてしまいました。 それが妙にリアルでありありと記憶しているのです。 夢は見ていても起きると同時に忘れるのに忘れません。 いつもの篠原君はひょうきんな…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その97

卒業式が終わると茶話会のようなものが用意されていたのですが雪子は家に帰ってしまいました。 卒業式に来ていたお祖父さんや父は母卒業式がそんなに悲しいのだろうと普段見せない様子に驚いていました。 家に帰ると自分の部屋に閉じこもっていました。 夕ご…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その96

そこまで雪子と会うのが嫌だったのです。 面と向かって「あんたなんか嫌い」と雪子に言われたら回復しがたいダメージを受けて一生くらい人生を送ることになると考えていたのです。 会わなければ言われる心配もないし雪子を愛した日々は美しいまま思い出とし…

私の誕生日が来て2018年の半年が過ぎた

2018年の抱負は 1.家内安全・天下太平を願うこと 2.2017年に特許申請したふたつの特許を実現すること 3.互い違い階段のらせん階段の製作 4.ロフトくんワンタッチ立て掛け装置の完成 5.互い違い階段のグッドデザイン賞受賞 だったんですが 1.家内…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その94

そんな日々が続いてついに卒業試験の日が来ました 家族の者も知っていてピリピリした雰囲気でした。 わりと試験はできました。 いつもの楽観的な雪子に戻ったのです。 それでも数科目落ちていて追試になりました。 火事場のバカ力でくりぬけました。 最終の…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その93

真知子の助けを受けることなしに雪子は今回は努力していました。 何とか卒業して薬剤師になってお祖父さんの薬局に勤めて独り立ちするという夢を持っていました。 あっ夢じゃいけない何が何でも実現しないといけないと考えました。 そして努力したのです。 …

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その90

篠原君はその情景を見て次の様に誤解してしまいました。 雪子は南君と付き合っていてその度合いも相当だと考えたのです。 結論は「ぼくの居るところはない」でした。 篠原君は気が弱いのでふられるとわかっているところには近づきません。 面と向かって雪子…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その89

事実を最初に言えば薬学部で1番の人気者というかすこし古いことばで言えば「ドンファン」なのですが南君というのがいました。 付き合っている女性が複数いて授業中も後ろで仲良くしているのです。 もちろん篠原君はうらやましくもあり軽蔑もしていました。 …

ブログ「東大阪のお嬢さま『雪子』」その88

篠原君は雪子の結構複雑な悩みをもちろん理解できません。 ほとんど会わないし口頭でそんな悩みを聞いたこともないので知りませんでした。 知っていたら渡りに船雪子とお付き合いをするのですが知らないのがこの先大きな災いの元になります。 篠原君は雪子の…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』その87

雪子はひとりでは一人前の仕事はできないと思っていたのです。 色々と悩んでズーッと悩んでひとりで生きていけないならやっぱり結婚かと思いました。 母親を見ていてやはりいい人と結婚するのが最善の策と結論でした。 その結論は雪子を知るすべての人の結論…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その86

3年生が終わって4年生になりました。 春休み明けではじめてあった雪子は春の装いをしていました。 いつものようにピンクのスカートを履いていましたがどこか違っていたように篠原君には見えたのです。 4年前期は実習がひと枠しかないので直接話せるのは週一…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その85

火事場のバカ力のおかげで最後まで残っていた雪子はめでたく合格しました。 雪子自身びっくりしていました。 自分の力を信じていなかったのです。 松本君は留年が決まってそれ以来授業には出てきませんでした。 篠原君はふたりの実験のときでもひとりでして…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その84

再々試験に臨むのですが教授も少しだけ救済と言うことで100以上あった対象生薬を50まで絞りました。 汎用の生薬ですので何となく知っているものもあるようです。 再々試験のつぎはありません。 雪子は焦りました。 真知子も焦りました。 このまま雪子が留年…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その83

雪子を教えたいと思ったのですが躊躇してしまいました。 雪子に助け船を出したのはもちろん真知子です。 真知子は全問正解です。 雪子は「古屋さんに勝ってよかったね」と言うと「勝った負けたじゃないよ 別に古屋さんと競争していないし」と答えました。 雪…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その82

まず古屋さんが試験場に向かいました。 1番ですので緊張していましたが結果はすぐ出ました。 もちろん合格で間違ったのはひとつだけでした。 つぎに雪子明らかに緊張していてことばもしどろもどろふたつだけしか答えられず不合格でした。 松本君は久しぶり…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その81

篠原君を見る目も雪子は変わっていきました。 そのわずかの変化を篠原君はわかりました。 今までは誤解で「雪子さんはぼくが好きだ」と思っていたのが「絶対に雪子さんはぼくが好きだ」に変わりました。 3年生の夏休みが終わって例の生薬鑑定試験が行われる…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その80まで

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」 あらすじ江戸時代からつづく名家の秋月家に生まれた雪子はお嬢さまとして育ちました。 秋月家自体は大きく変わっていく時代の流れに対応して事業を拡大していきました。 そんな家族と使用人そして使用人の子供で親友…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その79

秋月家は旧家です。 記録では数百年つづいています。 秋月家を頼る親類縁者使用人は十数人いて何代もいます。 秋月家の存亡はその人たちの生活がかかっています。 雪子の母親は養子を来てもらって家を継いでもらいました。 今の秋月家の隆盛はお祖父さんと雪…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その78

誤解と偶然で篠原君の雪子への愛は大きく膨らんでしまったのです。 一緒に大学通りを歩いたこと電車に乗ったこと家に行ったことお部屋でアイスクリームを食べたこと送ってくれたことを思い出すと胸が痛くて今までの愛情が変わりました。 雪子をただ遠くから…