ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの68歳の老人の日記です

ブログ小説

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その77

「ここ涼しいね」と篠原君は気に入ってしまいました。 雪子の母親がおやつを持って来ました。 夏ですのでアイスクリームとジュースです。 母親は篠原君にいろんな事を聞いてきました。 どこに住んでいるとか親は何をしているかとか兄弟は何人で何番目かとか…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その75

ふたりで布施駅におりました。 当時は布施駅は高架工事でそこらじゅうを掘り起こしたりしていました。 雪子の家は駅からはすぐです。 駅前のロータリーがなかった頃は自分の土地だけを使って駅から家まで歩けたのです。 すぐに家に着いてしまいました。 篠原…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その74

ながらく会っていなかったので雪子は懐かしく思いました。 篠原君は思いが叶ったと思っていました。 ふたりは用事が済んだので一緒に帰ることになりました。 はじめてです。 大学通りと呼ばれる駅までの道をふたりで歩きました。 いつも実習室では隣の席でし…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その73

雪子はこの人生最大の難関をどのように克服するか大問題でした。 歌にしても歌自体を覚えられないしそうかと言って真知子のようにそのまま覚えることも簡単にはできません。 ただただ記憶するしかないと考えました。 人生始まって以来の勉強です。夏休みそれ…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その72

3年生の夏休み薬学部生の大方は大変でした。 有名な生薬鑑定試験があるのです。 100を超える生薬の見本の和名と漢方名植物の学名を記憶します。 夏休み明けに提示された生薬についてそれを口頭で答えるという試験です。 和名と漢方名は何とか覚えられるので…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その71

篠原君は作ったすみれの押し花入り額縁を雪子にあげました。 実習の暇な時間にカバンから取りだして雪子に渡しました。 野草のすみれを見たことのない雪子は何だかわかりませんでした。 すみれが野草だとは何となくわかっていたのですが押し花というものがわ…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その69

合格して篠原君は大変喜んでいました。 雪子は篠原君が合格したことを聞いて素直に喜んでいました。 篠原君はそれを見てまたまた大きな誤解をしてしまいました。 雪子が篠原君を好きだと思ったのです。 篠原君はこの誤解になかなか気が付きませんでした。 そ…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その68

雪子にそう言われると応援されていると勘違いする篠原君です。 篠原君は全く畑違いの簿記に頑張っていました。 日商3級の次は日商2級の試験を秋の日曜日に受けに行くことになりました。 雪子に話すと応援しに行くと言うのです。 受験をどのように応援するの…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その67

2年生になると雪子は実習のときは一番近い同姓の古屋さんとは話さず篠原君と話すことの方が多くなっていました。 実習自体も週2回になって回数も増えました。 雪子は何とはなくですが実習が好きになっていました。 その原因が篠原君とはまだ気が付かなかった…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その66

4人で実習する時はいつものように篠原君は雪子と話しをします。 一方的に篠原君が話している方が多いのですが篠原君の饒舌というか面白い話しとか世の中のことに通じているというかそう言う話しをしたのです。 雪子は家ではほとんど話しをしません。 朝の挨…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その65

雪子はエキスポランドはすごく楽しかったと真知子に話していました。 真知子以外と遊びに行ったことはなかったのでちょっと変な感じだったらしいです。 篠原君が来ていないのが物足りなかったですが楽しかったのです。 次の日実習で篠原君に雪子は会いました…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その64

隣の班との合同でエキスポランド(現在はなくなってしまいましたが当時は新しくて人気のパビリオンでした。)に行く予定を立てました。 雪子はそんなところが好きだから行くことを約束しました。 古屋さんは止めたかったのですがこれも付き合いかと思って行…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その61

雪子は奨学金のことなど知りませんでしたが真知子に聞いて篠原君がお金持ちだと言うことを知ったのです。 「私と同じくらいなのかしら」と思いました。 でも同じではなかったのです。 実際には雪子は雪子がお金持ちではなくお祖父さんがお金持ちだったのです…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その60

篠原君は身なりが粗末なものばかりで貧乏人だとみんなは思っていました。 雪子は人を貧乏だとか金持ちだとかそんな事は全く考えない人間ですが普通の人はそんな事を感じるものです。 しかしながら篠原君が奨学金をもらっていないのです。 無償の奨学金がもら…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その59

松本君は麻雀のために一緒には卒業できないようなひとでした。 同じ班になった人は松本君を知っていますが他のクラスメートはどんな人だったかも知らないありさまでした。 ふたりの班分けのときは松本君は篠原君と班を組んでいましたのでふたりで実験する時…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その58

薬学部の当時の実験は時間ばかり要して閑なものでした。 例えば生薬を何時間も煮だしてただそれを見るだけです。 実験自体はグループで行われます。 ふたりや四人で行います。 講義のときは真知子がいつも隣にいましたが実習では出席番号順に班分けするため…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その56

大学のパンフレットの表紙にも真知子が採用されました。 薬学部学舎の前の芝生の上で数人の女学生が白衣を着て教科書を持って歓談しているというものです。 真知子が正面で足のシルエットまで綺麗に写っていました。 雪子は後ろ姿で短髪なので男子学生と間違…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その55

今までは女子校でしから学校の様子は180度変わっていました。 クラスは180人で男子が60人くらい女子が120人くらいです。 男子が大学にいるだけでなんかがさつでぼくとつで女子そのものの存在も変わっていくように感じました。 女子のくどい会話やねたみそね…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その54

雪子の大学受験は心配でした。 高校の担任からは無理だから志望を変えた方が良いと言われていました。 雪子はある程度は努力していましたが合格しなかったら合格しないで別にかまわないと思っていました。 お祖父さんは策を使っても雪子の将来のために合格さ…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その52

真知子は自分で自分の進路を決めたかったのですがお祖父さんの言葉は重いとも感じていました。 それに今雪子から離れるとたぶん雪子は挫折してどのようになるか容易に想像が付きました。 あと4年だけ雪子と同じ進路を歩むことにしました。 あと4年あと4年と…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その50

雪子は自らの技能不足を知ることなしに年月が過ぎていきます。 高校2年生になると進路を決めなければいけません。 雪子の進路は薬学部と決まっていましたので進路には悩みはありません。 いけるかどうかの問題です。 真知子は悩んでいました。 お祖父さんに…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その49

それに対して真知子の腕前はメキメキ上がりました。 監督よりも上手にこなしていました。 どこで習ったのかいろんな作戦も習得していました。 大会ではダブルスはもちろん1回戦敗退というか惨敗です。 雪子が打てなかったのです。 空振りあるは場外ホームラ…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その48

当時はスポ根もののドラマがよく放送されていたので雪子は主人公になったような気になりました。 今の人はスポ根といっても大根の一緒とか思っておられるかも知れません。 スポ根はスポーツ根性ものです。 根性でスポーツを頑張るものです。 友情がセットに…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その47

クラブ活動を終わる時にコートの掃除や整地などをふたりだけですることになります。 練習する時間は短くなりました。 部員を増やすことまでもお祖父さんにたのむのもどうかと雪子は思いました。 お祖父さんは可愛い雪子に頼まれれば何でも引き受けるでしょう…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その46

お祖父さんは雪子には硬式テニスは荷が重いと見ました。 強豪揃いの部員でその中に高校から始めた雪子ができるわけがないとお祖父さんはわかっていました。 そこでお祖父さんは高校の知り合いの理事と相談することにしました。 理事はお祖父さんに頼まれると…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その45

再三再四やってみたけどダメでした。 そんな話を一度もしたことない母親にも相談しましたが「それは努力以外無い」と具体性のない答でした。 やはり母親ではあまり役に立たないと思いました。 ここはお祖父さんに尋ねるべきだと雪子は思いました。 お祖父さ…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その44

テニスは雪子の母親が趣味でしていたのでしたいと思っていたスポーツでした。 雪子は本当のところお祖父さんや父親は尊敬していましたが母親は遊んでばかりで尊敬していませんでした。 母親がしているテニスも簡単なスポーツだと思っていたのです。 雪子の入…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その43

真知子に助けられながら雪子は高校へ進学します。 中高一貫ですから試験なしに高校生になりました。 制服が少し変わってブレザーになりました。 地元でも有名な可愛い赤のリボンが首もとについていて雪子は肌が白いのでよく似合っていました。 入学式の日に…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その42

雪子にはだいぶ程度が高かったのです。 家に帰って真知子の母親に聞くことになりますが中学生の問題は難しいのです。 仕方がないので真知子が教えることになります。 真知子は雪子の友達から先生へと昇進してアルバイトの謝礼ももらうようになります。 真知…

ブログ小説「東大阪のお嬢さま『雪子』」その41

今では考えられないような方法で雪子は一駅離れた中高一貫の女子校に通うことになります。 雪子は電車を使うことは今までは希でした。 駅前の商店街で大方のことは用意できるしハイキングや家族旅行と言っても当時は珍しかった車を利用していました。 父親が…