アスカルの童話 桃太郎とアスカル エピソード5 キジの参加
おばあさんは、
桃太郎の仲間が
犬と猿だけでは、
まだ不十分だと考えていました。
戦いには、力だけでも知力だけでも
だめで、勇気が必要だとおばあさんは、
考えていました。
おばあさんは、それは何かと考えあぐねていました。
もう桃太郎が14歳になったとき、
何気なく空を見ていると
キジの群れが飛んでいくのが見えました。
そういうと村人の中の
猟師がキジの群れの中に
賢いものがいて
罠にはまらないばかりか
罠にはまった仲間でも
うまく逃がすキジがいると言うことを聞いていました。
3番目の仲間は、
キジがいいと思い立ちました。
それで早速 黍団子を作って
キジに会いに行くことにしました。
しかしキジの群れは、
あっちに行ったりこっちに来たりで
その日は会えませんでした。
翌日も足を棒にして捜し歩きましたが
会えませんでした。
3日目の朝も
おばあさんは、
会いに行こうとまた黍団子を作っていると
家の扉をコツコツとたたく音がしました。
おばあさんがこんな朝早くに誰だろうと思い
戸を開けると
立派なキジが立っていました。
普通のキジより
一回り大きく
目が鋭いキジでした。
キジは、
「私を探しているが
何の用事だ。
罠にでもはめて
私を捉えようとするたくらみか。
それなら私から出向いて
その罠を
潰してしまうぞ。」
と大声で言いました。
「そのようなたくらみではございません。
私があなたに会いに行ったのは、
こちらにいる桃太郎と
鬼が島に一緒に行って欲しいのです。
あなたのような
勇敢なキジが
桃太郎の仲間になってくれたら、
怖いものなどございません。
どうか鬼が島の鬼を退治し
村人を救ってやってください。
お願いします。」
とおばあさんは、言いました。
キジはそれに答えて
「何を言うか。
私がなぜ村人を助けなければならないのか。
桃太郎の手下にならなければならないのか。
ふざけたことを言うな。」
と怒りました。
おばあさんは、頭を下げながら
「そのようなことはございません。
桃太郎の仲間となって
助けて欲しいのです。
キジとは何の関係もございませんが
、
村人は大変困っています。
あなたが、
村人を救ってくれたら、
きっと村人は、
喜んでキジに感謝し
キジに危害を加えないようになるでしょう。
それに加えて、
あなたの名声は、
キジの世界はもとより
人間世界にも広く知れ渡るでしょう。
今はキジの世界では、
あなたは有名でしょうが
人間の世界では、
ただのいたずらなキジとしか思っていません。
ぜひ桃太郎と一緒に
鬼退治に行ってください。
あなたにとってすばらしい出来事になるでしょう。」
と言いました。
キジは少し考え
それからおばあさんの後ろに座っている
桃太郎を見て
「桃太郎のうわさは、
聞いたことがある。
桃太郎が、実際どのような力の持ち主なのか
この目で確かめてやる。
それでは、私も鬼が島に一緒に行こう。」
と言いました。
おばあさんと桃太郎は喜んで
「桃太郎が
15歳になる来年に行くことになっています。
どうかそのときにはお願いします。
そのときまで我が家にまた来てください。
おもてなしをしますので。」
と言いました。
キジは、その日は、たらふく食べて
帰っていきました。
それから何度か来ては、
おばあさんの黍団子をはじめいろいろなものを
食べていきました。
そうして1年が過ぎようとしたある日やってきたキジに
「10日後に桃太郎は、出立します。
かねてよりのお願い通りよろしく桃太郎を
助けてください。
一緒に名を上げてください。
お願いします。」と言いました。
キジは
やっとその日が来てうれしくてなりませんでした。
「今こそキジの力を
見せてやる。」
とキジの仲間を前に
大声で言って
群れを後にして
鬼が島に飛び立ちました。
キジは、桃太郎の仲間の中では、
空が飛べるので
今で言う情報活動を主にしました。
元々キジという鳥は、
空を飛ぶのが
うまくありません。
しかし持ち前の負けん気魂と
素質のから来るのでしょうか
キジは風の流れをつかみ
人間が一日かかるところでも
小一時間で行くぐらいの早さで
行けるように
鍛えていました。
またジョンや猿が
初めて故郷に帰ったのは、
7年後ですが
キジは、
3日後には、
群れに帰ってきていました。
その後もアスカルのところに行くと
称して何度も帰ってきていたのです。
アスカルともよく馬が合っていました。
キジは、アスカルと同じような
ゆったりとした性格でもないけど
桃太郎やジョンや猿のような
性格でもない
そんなことが、
アスカルとキジの接点だったのでしょう。
キジによってもたらされる情報によって
桃太郎一行は、
数々の戦功を上げますが、
ただ一度のキジの失敗は、
黒駒の勝三との戦いの場面でした。
今までの経験と
過剰な自信から
「黒駒の勝三が屋敷にいる」と言う
誤った情報を提供したため
桃太郎一行は、
危機に陥ります。
しかし、ジョンの働きや
猿の機転によって難を免れます。
このことから
キジは、これ以後誤った情報を
伝えないように
何度も何度も調べるようになったのです。
ジョンや猿が故郷に帰っていた間にも
たびたび都鳥三兄弟を偵察に行っていたのです。
この熱心さが
最後の戦い勝利する一因となるのです。
そしてこの60日間帰った
この間に
キジはかねてより約束していた
雌のキジとめでたく結婚するのです。
桃太郎の臣下で
結婚するのは、
アスカルとキジだけです。
60日が過ぎたので
都鳥の三兄弟の館を偵察したのち
鍛冶屋の辻に帰参しました。