ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの71歳の老人の日記です

短編小説 「茶髪男と黒髪女の恋」その12

あずさは
ホームに
立ち止まって
息を整えました。

それから
サンダーバードが行った方向に歩いていき
エスカレーターを下りて
阪急梅田駅に向かいました。

今度は爪を挟まないように
慎重にチャックを開け
定期を取り出し
7番線の普通電車に乗って
園田に向かいました。
9分しか かかりませんでしたが
睡魔が襲ってきました。

でも眠って
乗りすぎたら困るので
必死の起きていました。

園田に着いて
アパートまでの道は
夢の中のような気がしました。

部屋に着くと
素早くメイクを落とし
形ばかりに歯を磨いて
ロフトのベッドに
もぐり込みました。

4時からの遅番なので
3時に目覚まし時計を合わせることは忘れませんでした。

あずさは眠たいのに
ベッドに入ると
今日あったことを
思い起こしました。
次々と思い出して
嬉しくなってしまいました。

そんなあずさも
睡魔には勝てず
眠ってしまいました。


一方次郎は
席に座るなり
眠ってしまいました。
新大阪を過ぎて
車掌さんが検札にきましたが
眠っていました。

寝返りは打ちましたが
金沢まで
起きませんでした。

2時間半で
金沢にサンダーバードは到着しました。
次郎が乗った車両は
金沢で切り離しで
乗客はすべて降りていきました。
しかし次郎は
そのまま眠り込んでいたのです。

しばらくして
車掌さんが見回りにきました。
次郎を見つけると
「お客様金沢に到着しました。
この車両はここまでです。」と
二度言いましたが
次郎は起きません。

それで
車掌さんは
次郎を揺らして起こしました。

次郎は驚いたように起きて
電車を急いでおりました。
そのときに
ふたりにとって
不幸が訪れます。
破れたズボンのポケットから
携帯が
落ちてしまったのです。
なお悪いのは
携帯は
ホームじゃなくて
線路に落ちてしまったのです。

音もしなくて
誰も気付かなかったのです。