悟は4年になると
普通の学生なら
卒業研究と就職活動と言うことになります。
当時の就職活動は
9月頃からですが
悟はそのどちらもしません。
悟は
薬学部を卒業すると
建築の大学に
進学したかったのです。
そのため悟は
4年になると
ぶ厚い受験用問題集を
やっていました。
十詩子は
問題集のやり方が
飛び飛びなので
悟に聞いてみました
十詩子:
悟さん
問題集
飛び飛びにやるの
悟:
そうなんだ
これがぼくのやり方さ
と偉そうに言える方法でもないんだけど
十詩子:
何故飛び飛びに?
悟:
ぼくは飽き性なんだ
すぐに飽きてしまうから
問題集も常に新しくないと
飽きてしまうんだ
だから
ページをめくったところが
最初のページというわけ
十詩子:
それは良い考えね
いつも新鮮という訳ね
悟:
十詩子さん
本当にそう思ってる?
始めから
やっていく方が良いと思っているんでしょう。
良いように編集してあるのだから
十詩子:
そんなことないです
悟:
十詩子さんは
ぼくよりズーと賢いもの
それに忍耐強いし
今は係長でしょう?
十詩子:
そんなことないです。
本当にそんなことないです。
係長じゃありません。
課長代理ですから
悟:
えっ
課長代理になったの
まだ入社4年目でしょう。
十詩子:
えへっ
ちょっと
ごめんなさい
今度辞令をもらって
課長代理になったの
ちょっと前に書いた
早期原価計算に関する電子計算機処理システム
を作るプロジェクトなの
悟:
わからないよー
第一
電子計算機自体わからないもの
電子計算機って
どんなものなの
詳しく聞いたこと無いよね。
十詩子:
そうね
電子計算機は
大きな
わがままな機械ね
外から見ても
何にもわからないけど
早いのよね
(この話は続きます)