ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの68歳の老人の日記です

ロフトで勉強しましょ 70話

十詞子は
少しよろけながら
通路の端に歩いていき
何が起こったか考えました。

3年間も
遠くに住んでいたら
あんなに仲良しだったのに
だめかもしれないと
思いました。

「それに悟が連れていた女性は
私よりとってもきれい人だったわ

もう私は
身を引くほうが
彼のためになるのかもしれない。

やっぱり
3年間はながいかもしれなかったわ。」
と考え
3年間→女性→身を引く
という図式が
回りまわって
他の考え方である
悟と私の愛は永遠に不滅という考え方に
ならなかったのです。

ふたりは
ふたりとも些細なことを
大きなことと誤解して
こんな結果になってしまったのです。

もっと立ち戻って
冷静に考えれば
そんな誤解など無いはずなのに
そして話さえすれば
解ける誤解なのに
十詞子と悟はそれをしませんでした。

相手のことを思って
自分が犠牲になることを
選んだのです。

十詞子は
ゆっくりと
大阪駅のほうに歩き出しました。

そのすぐあとに
悟と女性が
映画館を出たのですが
ふたりは出会うこともなしになってしまいました。

その後
新幹線に乗って
新宿の独身寮に
帰って
その日は布団の中に入って
寝てしまいました。
翌日も
何も食べずに
一日中泣いて暮らしました。

翌日
机の上の年賀状に
悟の住所を書いて
裏に
「おめでとうございます。
お幸せにお暮らしください。」と書いて送りました。
これが十詞子に出来る最後行いだったのです。

同じころ
悟も
見合いした相手の女性に
何か物足らないところを感じていましたが
理由はよく分かりませんでした。

毎年出している
十詞子への年賀状の最後を書きました。
文面は図らずも
十詞子と同じだったのです。

そのお互いの年賀状が
元旦に届きます。

二人は同じ文面に驚き
悩みますが
これで最後と
思うのです。

その後悟の母親が
急逝すると
見合い話は
立ち消えになって
悟は
一人暮らしになってしまいます。

悟は春から
大阪市役所に勤め
建物を内部設計出来る唯一の人材として
働きます。

方や十詞子は
東京本社に勤めながら
企画・営業・総務など各部署を体験していました。
34歳になると
部長職に就いて
ますます忙しくなっていました。

ふたりの恋愛はそれっきりで
ずーと独身で暮らしていきました。

仕事では大変忙しかったけど
恋愛しないふたりは
心静かな
日々だと思っていました。

そして
時間はゆっくりと経過します。

(「ロフトで勉強しましょ」は
しばらくの間休みます。
クリスマス直前に
クリスマス編
それ以降に
完結編を
連載します。

ご期待ください)