ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの68歳の老人の日記です

ロフトで勉強しましょ 完結編 その7

十詩子は
工場長に退職願を出した後
東京の専務にアポイントを取りました。
新幹線は年末で混んでいて
自由席では座れませんでした。

午後一番で
専務にあって
退職のお願いをしました。

専務:
工場長から聞いて
びっくりしているよ
結婚で退職というの仕方がないのだが
、、、
残念だよ
でもおめでとうと言うべきかな

十詩子:
申し訳ございません。

専務:
結婚しても
勤めることはできないのかね
社外取締役でも良いと思っているんだが
君のような優秀な人材が
いなくなるのは
我が社にとって
大きな損失だよ。

十詩子:
ありがたいお言葉
とんでもございません。

専務に挨拶した後
会社の各課に
挨拶した後
急いで
新幹線に乗って
家まで帰ってきました。

家に帰ってから
自転車で
国道筋まで行って
用を足した後
家に戻り
服を着替えて
約束の場所に向かいました。

約束の6時までには
あと一時間もありました。

尼崎駅の
陸橋から西の方向に
太陽が沈んでいくのが見えました。
沈むと
クリスマスイルミネーションが
昨日にもまして
華やかに輝きました。

約束の6時15分前に
駅の改札口を
悟は出てきました。

やっぱり悟さんは
今でも約束の時間より
「うんと早く来るんだ」
と思いつつ
悟に近づき
「こんばんは
今日は寒いですよね。」
と声をかけました。

悟は
十詩子を見て
びっくりしました。
昨日の十詩子は
30年前の十詩子と
ほとんど変わらなかったけど
今日の十詩子は
ぜんぜん違っていたのです。


悟:
十詩子さん
髪の毛切ったの
えらく短くなりましたね。

十詩子:
そうなの
こちらの方が
良いのかなと思って
これからどこへ行きますか

悟:
どこが良いかな
今日は
クリスマスなので
いっぱいじゃないかな

十詩子:
私
昔 悟と初めて行った
喫茶店に行ってみたいな
少し遠いんだけど

悟:
えー
40年近く前になるんじゃないの
まだあるの
えーと
確か国道筋のところ
あのときでも
相当古かったように思うけど

十詩子:
大丈夫
あるみたいよ
あのときは
自転車だったけど
今はないから
ちょっと贅沢に
タクシーで
行ってみない

悟:
ホー贅沢だね
昔なら
絶対にしなかったよね
歩いて行ったと思うよ

十詩子:
じゃ歩いて
ゆっくり行ってみましょうか。
悟さんがよかったら
歩いて行きますよ

悟:
それも良いかもしれないね
あのときは夏で暑かったけど
今は木枯らし吹く冬に
ふたりで行くのも良いかもしれないね
でも十詩子さんは
歩いて行って良いの
大丈夫
寒くない?

十詩子:
大丈夫
今日はしっかり着込んできたから

そう行って
ふたりは
尼崎駅の南の方に出て
ゆっくりと
歩き始めました。

ちょっと歩いて
警察署の前まで来たとき
十詩子は
「手をつないで
歩いても良い?」と
小声で
悟に言いました。

悟は
はっきりとわからなかったけど
手を差し出してきたので
ふたりは腕を組みました。