ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの68歳の老人の日記です

ロフトで勉強しましょ 完結編 その8

ふたりは
寄り添って歩き始めました。
あたりは
もう真っ暗でした。

40年前つきあっていた頃でも
こんなにながく
腕を組んで歩いたことはありませんでした。

小一時間ぐらいかかって
喫茶店にやってきました。

10年一日がごとしと言う言葉が
当てはまるように
その喫茶店は
変わっていませんでした。

ふたりは扉を開いて
中に入ると
ウエイトレスが水を持ってやってきました。

前座った
道路の外が見える席に
座りました。

悟:
君と同じように
変わっていないね

十詩子:
いいえ
喫茶店も
私も変わりました。
でも今でも
変わらないことが
あります。
それはあなたへの
、、、
、、、
(小声になって)
『あいじょう』
かな
悟さんも
変わらないでしょう

悟:
僕は
考えは
変わらないけど
そのほかのことは
変わってしまいました。
それもすっかり変わってしまいました。
40年もたったもの

十詩子:
私からこんなことを言うのは
恥ずかしいんですけど
もう私は
これしかないと思います。
もう私は
後がないんです。
もう56歳になって
悟さんに再会して
これしかないと思いました。

今日
会社を辞めてきました。
永く伸ばしてきた髪の毛も切りました。
悟さん
私は
もうあなたと結婚をするしか
残された道はありません。
悟さん
私と結婚して下さい。

悟:
えっ
あっ
そ、、、
○×△#&、、、

悟は
驚きました。
30年前に
遠くに行ってしまったと
感じていた
十詩子が
こんなことを言うとは
信じられませんでした。

沈黙が流れて
十詩子は
もう一度
言ってみました。

十詩子:
悟さん
私は漢の将 韓信と同様
後がないんです。
悟さん!

強く十詩子に言われて
優柔不断の
悟も
ついてに
決心しました。

悟:
十詩子さん
ありがとうございます。
十詩子さんの方から
そんなことを言わせて
ごめんなさい
31年前に
いえなかったことを
いま言います。
『としこさん
けっこんしてください』

十詩子:
ありがとうございます。

本当にうれしいわ
今日はクリスマス
最良の日ね
31年間も
回り道をしたけど
それも今となっては
懐かしく思います。

悟:
こちらこそ
ありがとうございます。

ふたりは
お互いに同じようなことを
言い合いました。

十詩子:
私
あなたが
結婚しないと言っても
私は
今日からは
あなたに付いていく覚悟ができていたの
いやだと言っても
押しかけ女房に
なるつもりだったんです。

だって会社も辞めたし
私の一番の魅力の
髪の毛も切ってしまったもの
悟さん以外あり得ないわ

悟:
十詩子さんは
積極的ですよね
最初会ったときから
積極的だったけど
僕がもっと積極的だったら
こんな遠回りはしなかったのにね。