ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの68歳の老人の日記です

お花見とお月見 その5

弟が大き目のござを持って
姉が風呂敷に包んだ重箱を持って
まず近所の家に向かいました。

そこの家には
数人の友達が集まっていて
皆で連れもって行くことになりました。

村の中を通る
有馬道を外れ
春の草が
わずかに生えた
野道を
北に向かいました。
小川のせせらぎが流れていました。

遠くには六甲の山々が
春霞の中見えました。
風もない穏やかな天気で
今日の弁当節句には
格好の日和でした。

年に一度の
子供の楽しみの日になる予感がしました。

弟はうきうきした
気分で大きなござをもって
姉の後ろを
ゆっくりと歩いていました。

空にはところどころ
「ぴーちく ぱーちく」とヒバリが鳴いていました。

ヒバリは空の同じところでずーと鳴いていて
弟はその下にでも巣があるのかと思って
探しましたが
いつも見つけられませんでした。

姉やもう一人の大きなお姉さんが
「ここにしましょう」と
声をかけました。

弟は待ちに待った時がきたと思いました。
そこは
小高くなっていて
小さな梅の木があって
梅の花はもうすでに終わっていましたが
少し出た葉っぱが
青々と春を感じさせました。

弟はござを敷いて
下駄を脱いで
その上に上がりました。
姉もその上に風呂敷をおいて
開けました。

弟に
こぼさないようにと言って
弟の前に弟の重箱を置きました。
弟はそんなこぼすような
へまなまねはしないと
心の中で思いつつ
眼をキラキラ輝かせて
ふたを開けました。

姉自分の分の重箱を取り出し
前に起きました。

皆はおもいおもいの方向を見て
「いただきます」と言って食べ始めました。

遠くの山々
山まで続く田んぼ
ところどころの家々・鎮守の森
近くには小川
空には白い雲
そして
ヒバリの鳴き声
こんな中で食べる
三ヶ月ぶりの白いご飯の巻き寿司が
美味しくないはずはありません。

今なら
山紫水明
山青くして水あくまでも清い
と表現でもするのでしょうが
当時は全くそんな言葉を知らない弟は
ただただ
楽しくて
嬉しいと思いました。

弟に限らず皆は
一口で
お寿司を食べると言うことはなく
少しずつ
箸でつまみながら
食べました。