ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの71歳の老人の日記です

アスカル帰還せよ その34

見えなくなった
サリナさんに
何か
こちらの目印を
出せばいいのです。

燃料を噴射でもすれば
目立つので
わかるでしょう。


でもこの方法を使うと
燃料を無駄に
使ってしまいます。

私は迷いました。

お茶の湯博士にも
無線で聞きましたが
なにしろ
地球まで
無線が届くのが
20分くらいかかるので
直ぐに答えてくれても
40分も
かかってしまいます。

あれこれ私が考えていると
サリナさんが
無線で言ってきました。


サリナ:
アスカル
僕ね
打ち上げ花火を
持ってきているから
それを打ち上げてよ
それをたよりに帰るから

アスカル:
花火なんか持ってきているの
宇宙船の中は
火気厳禁だよ
それなのに

サリナ:
そんなことは
おいておいて
マッチもあるから
椅子の下だよ

アスカル:
マッチも持ってきているの

サリナ:
ところで
空気のないこんなところで
花火や
マッチに火がつくかな

アスカル:
そんな事も知らないで
持ってきたの
もちろん点くけど

私は
花火を打ち上げる準備をしました。

5本しかないので
見落とせば
どうしようもありません。
音がしないので
見るしかないのです。

無線で合図をしながら
打ち上げました。

一発目は
サリナさんはわかりませんでした。

2発目は
わずかに見えたと言って
その方向に歩き始めました。

それから3発目
これは
はっきりと
サリナさんはわかったらしくて
それからまもなくして
サリナさんは
帰還ユニットに帰ってきました。

ふたりは抱き合って喜びました。

残りの花火を
打ち上げて
それをビデオに撮って
記念にしました。

周回している
火星探査機が
ちょうど回ってくるときが近づいたので
ふたりは急いで
帰還ユニットに乗り込みました。