ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの71歳の老人の日記です

ロフトの妖精 その17

私は
神様に直接呼ばれることなど
ご褒美の時くらいなので
まったくわかりませんでした。

でも
「神様がゆっくりしてもよい」
と言うし
いつも節約節約というのに
経費もたくさんもらっているし
剛さんは優しいし
美味しいものは
買ってきてくれるし
休みの日には
いろんな所に
連れて行ってくれるので
ゆっくりとしようと思いました。

そんな事を思いつつ
数ヶ月が過ぎ
季節は
春になりました。

私は
春になるまで
何も考えていないというのではなく
いろんなことを
考えていたのですが
思いつかなかっただけです。

でも剛さんは
私の前では
考えているフリをしていて
常に
メモ用紙に
階段の絵を書いていました。

でも
それから
少しも進まなかったのです。

週初めから
いろんな観光案内書や
ガイドブックを
楽しそうにみながら
「今度は
どこに行こうか」と
言ってくるのです。

私も
剛さんと話していると
楽しいので
とりとめのないことを
なんやかんやと
話して過ごしていました。

そんな春の週末
花見に出かけることにしました。

夙川の
河畔の桜が美しいというので
前の日から
用意した
食材で
お弁当を作って
出かけました。

もちろん
レジャーシートも忘れず
そのほかにも何やかや持って
電車で出かけることに
なりました。

ふたりで出かけるのは
もう何十回も出かけているので
要領もよく
役割分担ができていて
身支度を調えて
階段を下りました。

下の玄関まで行ったとき
私は
鍵を持って下りてくるのを
忘れてしまっていたのです。

「あっ
鍵 忘れた」
と私が言うと
剛さんが
「取ってくるよ」と階段を上りました。

少し早足です。

鍵が直ぐに見つからなくて
少し手間取っているようでした。

「私も上がって探しましょうか」と言ったら
上から
「ありました」と
声が聞こえて
剛さんが
階段を急いで
下り始めました。

私はぼんやりとみていたんですが
剛さんが
上から4段目に
左足をかけたとき
左足が
階段を踏み外して
滑り落ちたのです。
右手は
手すりを持っていましたが
体は
左後ろの方に
こけ始めました。