ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの68歳の老人の日記です

昭和30年頃の お正月 その6

母親が
起きるまでの間
弟は
考えていました。

いつものつまらない考えですが
「毬(まり)は蹴っても
こたつは蹴るな」という防火標語です。

幼稚園の
先生が
そんな風に言っていたのです。

でも弟は
「男の子だから
毬遊び何かしない

毬を蹴る事なんかしない

それに
こたつなんか
蹴るわけがない。

こたつは暖かいけど
直接触ると
ヤケドするような
あんな熱いこたつを
蹴るわけない

だのに
先生は
『こたつを蹴らないように』なんて
言うんだもの

先生の使っているこたつは
熱くないのかもしれないな」と
考えを巡らしていました。

弟は
いつも寝られないときには
こんな事ばかり
考えていました。

朝起きると
服を着替えて
手水を使います。

寝間着は脱いで
ちゃんとたたみます。

姉の方は
うまくたためますが
弟の方は
何となくたたんだように見せていました。

行儀よくしないと
父親の
叱咤がやって来ます。

朝起きると
兄弟は必ず
「おはようございます」と
朝の挨拶をします。

手水の水を
母親にもらって
顔を洗うのですが
冬は
へっついさんで
湯を沸かし
少し入れて
生暖かい水で
洗います。

顔を洗ってから
しばらく待っていると
父親が
朝間の仕事から帰ってきます。

兄弟は
「おはようございます。
お帰りなさい。」と
迎えます。

家族がそろうと
朝ご飯の始まりです。

鉄鍋一杯に炊いた
麦ご飯と
味噌汁
それと
お漬け物です。

お漬け物は
白菜と
大根です。

同じように
「頂きます」と言ったあと
無言で
黙々と食べるのです。

「ごちそうさま」と言って
食べ終わると
父親は
「今日は
30日
餅つきをするから
用意するように」と
母親に言いました。

母親は
餅米を
昨日の内に
洗って
水に浸けていました。