私は この時の様子を 15年前ですが 良く覚えています。 アスカルの目を見たとき ザクッと 何か私の中を 走りました。 私が見たアスカルは 仔犬のかわいらしさは 少なくなっていて 淋しい雰囲気でもなく 世の中を 達観しているような 雰囲気でした。 私は この犬に 決めざる得ないと 決心しました。 女房や 子供も そのように考えたみたいです。 アスカルは きっと 「ボクは ひとりぼっち ひとりで生きていく 誰の 世話にもなりたくない 音がするぞ いつもの 飼い犬を探す 飼い主かな 見たところ パッとしない 人間だな ボクをどうしようというの」 「どうですか」と言う 看護師の方からの 問に対して 私は 即座に 「はい」と答えました。 そこの 病院長がやってきて 「ヒゲ切っておきますね」と言って 切ってしまいました。 私は 猫のヒゲと違って 犬のヒゲは 切るものと 初めて知りました。 私は 看護師の 方から アスカルを 手渡されました。 私は アスカルを 初めて抱きました。 どんな風に どのくらいの力で 抱けばいいのか わからなかったので 少し怖かったことを 覚えています。