ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの68歳の老人の日記です

ブログ小説「冴子の人生は」 その19

冴子の会社は
品質管理に
凄く厳しかったのです。

その当時では
珍しい
工程時検査を
していました。

もちろん
そのような
厳しい検査をしていても
不良品が
出てしまうことも
確率的にはあります。

そこで
製造部門と
検査部門の
申し合わせがあったのです。

即ち不合格品があると
検査をしなかったとして
製造部門に
戻すのです。

検査をしていないので
検査部門にも
問題がなく
戻された製品は
再度検査して
不良品ははねる手はずとなるのです。

その申し合わせは
検査要領書に
書かれていませんでしたが
当然のことと
製造部は思っていました。

冴子は
検査部門に配属になったとき
そのような申し合わせがあることを
聞いていませんでした。

でも
聞いたいなかったので
そのような結果になったと
製造部門の面々は
思っていませんでした。

冴子と
製造部門の
女工さんとは
仲が悪かったので
そう思われたのかもしれません。

冴子は
正しいことをしたのに
社員の大方は
そうは思わず
冴子を
責めたのです。

しかし会社の上司は
そのようなことは知らず
会社の雰囲気は
冴子にとって
最悪の結果となります。

一部の上司は
内容を知っていましたが
表面化はせず
そのことが
余計に
冴子を苦しめました。

でも
冴子は
割り切って
職務を
粛々と
こなすしか有りませんでした。