ハワイでは 英語がわからず 旅行としては あまり楽しめませんでした。 しかし、 冴子は そんなことは 新婚旅行には 関係ないので 登と 充分に 楽しみました。 伊丹空港には 登の両親が迎えに来ていて まずは 実家に連れて行かれました。 「疲れた」と言った 登は その日は 実家に泊まってしまいました。 冴子だけが 歩いて 数分の 誰もいない新居で 初めての夜を過ごしたのです。 冴子は 結婚の 2ヶ月前には 4年弱勤めた 会社を 辞めていましたので 翌日は 朝から 旅行の荷物の整理や 買い物 洗濯 お掃除をこなして 夕食の準備をしていました。 7時過ぎに 登は帰ってきて 無口に食事をして お風呂に入って テレビを見ていました。 登は 冴子の父親が勤める 会社と取引のある 部品会社に勤めていました。 当時は 半導体が出始め それが ICへと 発展していく段階で その営業をしていた 登の仕事は 忙しくなっていきます。