ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの71歳の老人の日記です

ブログ小説「冴子の人生は」その76

引くに引けない
勇治と冴子は
パン屋に専念しなければなりません。

焼きそばパンのために
焼きそばを作り
お昼にやってくる
工員さんたちには
麦茶を配ったり
チラシを配ったり、
駅前で
呼び込みをしていて
駅員さんに注意されたり
冴子は
がんばっていました。

根っから
冴子は
人と交わりたくない
気性なのですが
そんなことを言っている
余裕はないのです。

登や
家族に
見つかりたくないのです。

そのため人目に立つところへは
行きたくなかったのです。

そんなことを恐れていたのですが
やっぱり
2番目の
子供が
冴子と
会ってしまうのです。

鷹取の
旧国鉄の工場を
見学に来た時
会ってしまったのです。

2番目の子供と別れたのは
小学生の低学年の頃でしたが
子供の方は
写真を
いつも見ていたので
すぐにわかったのです。

チラシをもらって
顔を見ました。

懐かしい気持ちでイッパイです。

でも
当の冴子は
小学生の時に分かれた
子供など
顔は
大人顔になっているし
わかるはずがありません。

子供は
一瞬にして
自分を
知らない
母親を
憎んでしまいます。

そのことは家族には
話しませんでしたが
持っていた
写真は
破り捨て
少しして起きる地震の時に
ボランティアに行こうとする
父親と兄にそのことを話して
止めるほど
憎んでいたのです。