ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの68歳の老人の日記です

ブログ小説「冴子の人生は」その77

子供が
そんな風に思っていると
全く思っていませんでした。

冴子は
がんばって
チラシを撒いていただけなのに
子供に
憎まれているとは
全くわかっていませんでした。

子供は
自分がわかっているのだから
親なら
絶対
子供とわかるはずだと
思っていたのでしょう。

大きくなっても
子供かどうか
わかると
思っていたのでしょう。

冴子は
そんな
立派に大きくなった
子供を
わかるはずもないと
言い訳をする機会を
与えられませんでした。

何も
子供を
無視したわけでもないので
死ぬまで
これが原因だとも
わかりませんでした。


そんな真実とは別に
冴子が
駅で
チラシを
撒いたことで
商売は
一応
少しは持ち直したのです。

勇治や冴子そして河本さんのおかげで
パン屋は
何とか
あの惨事が
起こるまでは
続けることができました。

あとになって
勇治と
小さな部屋で
やりくりした
この時代を
本当に懐かしく
思うことになるのです。

この
やりくりしている間に
冴子の母親は
温泉に行って
帰ってから
微熱が続いて
入院して
肺炎で
1ヶ月ほどの患いでなくなってしまいます。