ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの71歳の老人の日記です

ブログ小説「冴子の人生は」その80

揺れがながく続いたのか
それとも一瞬なのか
あとになって
冴子は
思い出せませんでした。

真っ暗の中
冴子は
立ち上がりました。

腰を打ったのか
少し痛かったのですが
冬で
たくさんの服を着ていたし
革の手袋と
ブーツを履いていたのが
後々役に立つのです。

揺れがしばらくの間
おさまったのですが
当たりは真っ暗です。

冴子は
停電して
街灯がすべて消えた時に
そんな風になるとは
全く知りませんでした。

お月様は満月を少し過ぎたくらいですが
地震の起きた
6時前には
月の入りがあったのか
それとも
雲が出ていたのか
わかりませんが
月明かりもなく
真っ暗でした。

その時
ハット気付きました。

勇治は
店にいるのです。

勇治は
大丈夫か
心配になりました。

停電になるまでの一瞬ですが
付近の家が
潰れるのが見えました。

店も潰れたに決まっていると
思って
心配になりました。

何が何でも
店に行かなければなりません。

いつもの道は
もう通れないように思いました。

川沿いの道を
北に行って
国道に出るしかないと思いました。

川沿いの道も
破片が散らばっていて
気ばかり焦って
進めません。