ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの68歳の老人の日記です

ブログ小説「冴子の人生は」その83

助けられた
子供を
横に見て
孤立無援で
掘り続けました。

端から見ると
冴子は
正気のように見えません。

女の手で
もう冴子が
かがみながら
掘っていると
見えなくなるところまで
進んでいました。

一月の寒風が吹いても
冴子は当たりません。

冬の服で
背中には
リュックサックを背負っていたので
全身汗ばんでいました。

頭の
毛糸の帽子も
少し汗で濡れているのですが
そんなこと
気にしていませんでした。

太陽が
真上に来ていることも
感じませんでした。

空には
ズーッと
ヘリコプターが
やかましく
飛んでいました。

そんな中
冴子を
呼ぶ声がしました。

後ろの方からです。

振り向くと
60才ばかしの老夫婦と
屈強の若者が
ふたり
立っていました。

「私
河本です。

娘は
娘は
どこにいますか」
と
大声で
冴子に言っているのです。

4人は
心配そうな顔で
冴子を
見ていました。