ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの71歳の老人の日記です

ブログ小説「冴子の人生は」その103

雨の中
棺を
みんなで担いで
用意した
寝台車に載せました。

冴子は
寝台車の前に座って
係員に渡された
死体検案書を
持ちました。

雨は激しくなり
フロントガラスの
ワイパーは
激しく左右に振れました。

岡山までの
道のりは
ながく思いました。

お昼おそく
家に到着して
頼んであった
お葬式屋さんは
手際よく
祭壇を作りました。

冴子は
横で見るだけです。

何もすることなしに
ぼう然と
座っていました。

夕方近くなると
お寺さんや
近所の人が
多数押し寄せ
冴子に
お悔やみを言って
帰りました。

食事も
近所の人が
作って
冴子の前に
持ってきてくれました。

何もせず
何もできず
時間が過ぎ
夜も更け
雨も止みました。

冴子には誰だかわかりませんが
お布団の用意もできたと
言ってきました。

でも
義理の父母は
今夜は
よとげで
寝ないというので
冴子も
寝ずに
明日のお葬式を
待ちました。

座りながら
ウトウトとすることがあっても
横にはなりませんでした。