川本さんの お母さんとは 5月に 会ったきりで 懐かしく思いました。 亡くなった娘の 一周忌をするので 来て欲しいというのが 冴子のところに来た 理由ですが そんなことより 懐かしく お話ししました。 1月17日は 亡くなった勇治の 一周忌だというと 次の日曜日の 21日に行うので 大丈夫という話しになりました。 夕方まで話して 川本さんは 帰って行きました。 その日も 少し遅れて スナックに行くと 川上さんは もう店に来ていて 黙って 野菜サラダを 食べていました。 冴子が 挨拶に行くと 「1月17日の 同時刻に 追悼の式典が 神戸で行われるそうです。 寒いですが 一緒に行きませんか?」と 誘ってきました。 でも 冴子は 「その日は 岡山で 一周忌があるから 行けないわ」と 答えました。 川上さんは 少しがっかりして 「当然ですよね」と 答えるのがやっとのようでした。 追悼は 早朝なので 時間を都合して 言っても良いがと 思いましたが 岡山の お母さんが 前の日から来て欲しいというので とても無理だと言うことで 川本さんには 悪いけど お断りました。 ふたりの 一周忌に立て続けに 行って 少し気が弱くなってしまいました。 スナック勤めも 身が入らなかったのです。 川本さんは 冴子に掛ける言葉もなかったのです。