けいが 甥の勝と姪と母親の千代の 食事に頭を 悩ましている時 勇治は 兵隊のあとを付きながら 口にするにも 汚らわしいことを 大陸でやっていました。 大陸から 台湾へ兵隊のあとを付いて 輸送船で わたる時に 米軍の潜水艦の魚雷攻撃で 撃沈されてしまいます。 こんなこともあるかと思っていた 勇治は 赤いふんどしを 身につけていました。 服を脱いで サメよけの 赤いふんどしをして 一昼夜泳いだ時 駆逐艦に 助けられます。 勇治は 命冥加がある そんな天性を持っていたのです。 でも この場で 勇治が 死のうが 生きようが 勝にとっては あまり変わらない 出来事なんです。 しかし おばあさんの 千代にとっては 不幸な出来事であったことは 後になって わかることですが この時は 誰も知りませんでした。 勝は 手紙も よこさず 帰って来たのは 終戦の年の11月のことです。 日焼けして 疎開先の 千代の納屋に帰ってきました。