ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの68歳の老人の日記です

ブログ小説「超幸運な男」その53

勝と郁恵は
誰の目にも
仲のよい
親子のように見えていました。

歳の差が
あったので
そう見えたのですが
理由は
他にもあるのかもしれません。

勝と郁恵の仲が
マスターの言うように
公明正大であったためです。

ふたりは
手を繋いで
歩くことなどありません。

つかず離れず
ある距離を
保っていました。

はた目からは
仲のよい
親子でしたが
当人たちは
親子では
なかったのです。

ふたりの心は
繋がっていると
思っていました。

ふたりで
宗教団体の集まりに出席したり
布教活動に行ったり
あるいは
宗教活動とは
全く違うことにも
ふたりで行きました。

映画を見に行ったり
食事をしたり
勝の
少しレトロな車で
ドライブしたりしました。

そんな日々が
何年も続きます。

その間にも
勝は
不動産屋さんを
またまた
かわりました。

給料は
そうかわりません。

待遇も
かわりません。

単に転職したいから
転職したとしか
いいようがありません。

転職癖は
健在でした。