ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの71歳の老人の日記です

ブログ小説「超幸運な男」その58

郁恵の声が
段々大きくなって
勝は
力付きました。

最後に
大きな板を
取り除くと
郁恵が
かがんだような姿勢で
いました。

郁恵の頭を押さえながら
手を掴んで
引っ張り出しました。

郁恵は
長くかがんでいたので
曲がったまま
毛布を被って
出てきました。

そして
勝に
抱かれました。

腰が痛いので抱かれたのか
ありは
助けてもらったお礼で
抱かれたのか
わかりませんが
抱き合ったまま
涙が出ていました。

マスターは
目の前で
郁恵と
勝が
抱き合ったのを
至極当然と
思いました。

1分くらい経って
中から
弟の声が聞こえて
我に帰って
掘り始めました。

穴の中で
家具の下敷きに
なっていました。

近くにあった
柱の切れ端を
テコにして
家具を少しあげて
マスターが
引っ張り出しました。

弟は
右足を引きずりながら
マスターと
郁恵に抱えながら
出てきました。

真冬で
寒いときだったのに
勝は
汗が
額を流れていました。

ふたりを助けて
勝は
思い出しました。

勝の家の前の家が
全壊していたことを
思い出したのです。

いつもなら
家の中にいる時間です。

マスターに
そのことを言って
家に帰ることにしました。