美奈子さんが そんな事を考えている そんなある日 また陽一君から 電話がありました。 ボランティア活動を 一緒にしようという 電話です。 陽一君が 薫子さんを誘うのに ひとりだけではという 考えであることは 美奈子さんにはわかっていたのですが 薫子さんと 会えるのなら 誘いに乗ることにしました。 もう暖かくなっていて ボランティアセンターに行くと 避難所から 仮設住宅への 引っ越しの手伝いです。 いつものように 薫子は 笑顔のアイコンタクトで 挨拶していました。 そばで見ていて 美奈子さんも 同じように まねをしてみました。 一回まねをすると 2回目 3回目は 難なくできるようになりました。 美奈子さんは 心の中で 「意外と簡単」と 思いましたが そうではないと すぐに気が付きました。 相手が 薫子ばかりに 話しかけて 頼んでくるのです。 美奈子さんを 別に 無視しているわけではないのですが 近づいてきません。 美奈子さんは 「やっぱり 薫子さんは すごい」と 思いました。