朝方 ウトウトして 夢を見たように思ったあと もの音に気が付き 目を開けました。 陽一君が 薫子の顔をのぞきこんでいました。 これ以上 心配な顔が できないような 顔でした。 薫子は 「自分が一番悩んでいるわけではないんだ。 陽一君の方が きっと 私を心配しているのと 子供を失った悲しみが あるんだ」と 思ってしまいました。 それで 控えめの 笑顔のアイコンタクト 陽一君に 朝の挨拶をしました。 その控えめな笑顔で 陽一君も 笑顔が戻りました。 薫子: 心配してくれて 本当にありがとうございます。 でも 私は大丈夫 陽一君もう心配はしないで 今回は こんな結果になったけど 夢の中で 赤ちゃんを見たわ その中で 『今日はまた星に帰るけど 近いうちにまた来るから その時はよろしく』 と言っていたの 陽一: そんな夢を そうだよね 薫子: 私たち こんなに仲がいいのよ 陽一: こんなに仲が良かったら また来てくれるよね 薫子: そうに決まっている 陽一: それにしても その赤ちゃん 大人びたセリフよね ふたりはそんな話をして 笑ってしまいました。 昼過ぎになると 薫子の母親や 陽一君の両親が お見舞いに来てくれました。 同じように 笑顔で対応したので 来た人は ホッとした様子でした。 退院して 実家で 養生することになって 陽一君が 送っていくことになりました。 このことがあってから ふたりは もっと仲良くなりました。