ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの71歳の老人の日記です

ブログ小説「笑顔のアイコンタクトに魅せられて」その91

朝方
ウトウトしていると
夏子が泣いて
目が覚めました。

もう一度
電話をしましたが
通じませんでした。

陽一君の
お母さんから
連絡がありました。

陽一君の
お父さんと
家業を継いでいる
お兄さんが
車で仙台に行ったことを
伝えてきたのです。

会社で一番大きな
バンに
布団や
食糧・水なんかをたくさん積んで
出かけたそうです。

薫子も
仙台に行きたいと
話しはしましたが
夏子がいるからと
説得されました。

薫子は
家で待たねばならなかったのです。

陽一の父親の車は
日本海側から
仙台に入ったのは
その日が終わった頃でした。

仙台支店には
まだ人がいて
父親は訪ねました。

翌朝
一緒に行った
不動産屋さんの
店長が
探しに行くことになっているので
同行することにしました。

そんなことを
薫子にも
電話しました。

近くの路上で
車中泊をして
その時を待ちました。

まだ日が上がらない時に
不動産屋さんの
店長が
オフロード車で
やって来ました。

探すところは
道が傷んでいるので
その車に同行することになりました。

昨日も
探しに行ったけど
見つからなかったと話していました。

今日は
もう少し
広く探すことにしました。

日が開けた頃
海辺に着きました。

朝日に
照らされた
海岸は
目を覆うばかりです。

筆舌に耐えません。

ゆっくり車を
走らせながら
不動産屋さんで使っていた
車を探しました。

その車は
真っ赤に塗られていて
大きく不動産屋さんの名前が
ローマ字で書かれているそうです。

みんなは
目をさらにして
付近を見渡しました。

陽一君
お父さんは
遠目が聞きますので
車の窓から
乗り出して
探しました。

昼になって
非常食を食べたあと
また走らせて
探しました。

3時頃
遠くに
赤い車が見えました。

近づくと
名前がはっきりと書かれていて
裏返しになっていました。

車を降りて
車を見ると
中には
人影はありません。

扉を
こじ開けたあとが
ありました。

近くで
捜索している
警察官に聞くと
昨日
ひとりの遺体を
その車から
収容したと
話してくれました。

収容遺体は
少し離れた
小学校の体育館に
安置されていると
知らされました。