133
あまりにも痛々しそうなので 登が そのようなことを言うと 家主さんは 「『これで大丈夫です。』と 美奈子先生が おっしゃっておられました。 治療のときは 死ぬかと思ったけど 今は もうだいぶ元気になってきて 食欲もあるし 万全です。」と 笑って話しました。 「美奈子先生は 上手だから もう完璧です。 良い先生を 紹介してくれて ありがとうございます。 美奈子先生は 登さんと お友達と 言っていましたが どんな友達なんですか」と 聞いてきました。 登: どんな友達って言っても 先の震災のときに ボランティア活動で 知り合ったんです。 あの時は みんな若かったです。 まだ大学生で 美奈子さんは よく働いていました。 私は 美奈子さんの指示で あっちに行ったり こっちに行ったり していました 家主さん: それなら 『パシリ』じゃないですか 登: 今から考えると そうかもしれませんね。 でも 美奈子先生の 指示は いつも的確だったから そうするしかなかった (ふたりは 笑ってしまいました。) 家主さん: 次の 土曜日に お月見 観月会をすることになっています。 十七夜の立ち待ち月なんだけど 皆さんが集まり易いかと 思って決めたんです。 毎年していますが 今年は 病気で お世話になった 美奈子先生や 登さんにもきて欲しいです。 たいしたものは出ないけど 心から接待するから きてくれませんか。 登: お月見なんて 何年ぶりでしょうか。 どのような方が こられるんですか。 家主さん: いつもは 前の 入居者の方にも 来てもらっています。 夏子ちゃんも 来ますよ