登は 雪道を 転ばないように ゆっくりと 家に帰りました。 夜の雪道 寒くて寂しかったけど 登の心は 暖かくなっていました。 希望が 持てました。 春になると 薫子さんと 仙台に行けると 考えると 心の中から 喜んでしまいます。 そのことがあってからも もちろん スーパーマーケットに 買い物に行きました。 以前と 同じように レジの 薫子と話することも 時々ありました。 しかし 前とは違って 「鍋を 一緒に食べましょう」などとは 言えませんでした。 名前で呼ばれるようになると 何かリアルになって 誘っても 冗談に聞こえないような 気がするからです。 もし 断られたら 取り返しが つかないことになると 考えたからです。 弥生三月になると 段々と暖かくなり 薫子の住む街にも 咲き出します。 薫子は 4月に行く用意を 始めました。 夏子ちゃんも 行くので 用意が要ります。 亡くなった 陽一君のことを 詳しく 夏子ちゃんに 話しておかなければなりません。 夏が来れば 4才になる 夏子ちゃんは 日々 賢くなっていて 少し難しいことも 理解できるようになっていました。 詳しく説明しました。 利発な 夏子ちゃんは 理解できたと 薫子は 思いました