ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの71歳の老人の日記です

ブログ小説「笑顔のアイコンタクトに魅せられて」その168

土手の
ツクシも芽を出し
少しずつ
暖かくなりました。

薫子が休みの時
夏子ちゃんを連れて
土手に
ツクシ取りに出かけました。

薫子が
小さい時
母親が
農作業している横で
畦に生えた
ツクシを採った
記憶がありました。

土手を
ふたりは捜して
歩き回りました。

夏子が
ツクシを
見つけるのに
それ程の時間は
掛かりませんでした。

「これがツクシ」と
夏子ちゃんに言いました。

「丸い帽子をかぶっているのね」と
夏子ちゃんは言いました。

「ツクシはね
筆の形をしているので
土の筆と
書くのよ」と
薫子は
答えました。

夏子ちゃんは
捜しました。

すぐに
見つけて
袋にとりました。

瞬く間に
袋いっぱいになって
土手に座って
ツクシの
袴を取り始めました。

「ツクシさんって
スカートを
履いているんだね。」と
ふたりで
楽しく
話しながら
ゆっくりと
座っていました。

西の
六甲に
夕日が
沈み始めました。

ふたりは
袋を持って
帰り始めました。

夏子ちゃんは
薫子の
手を
ギュッと
握って
あるきました。

なんだか
夕日と
握られた手で
もの悲しくなってしまいました。