ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの71歳の老人の日記です

短編ブログ小説「遊び人真一」その9

高校での成績は
真一に言わせると
精一杯していて
運も手伝って
よかったと
思いました。

これなら
父親が
絶対条件にしている
旧帝大に
受かるかも知れないと
思うほどになりました。

しかし
そんなことは
父親には
言いませんでした。

黙って
九州の
旧帝大を
受験しました。

法学部は
難しいので
文学部に
願書を提出しました。

父親は
旧帝大は
受けないと思っていたのか
無関心を
装っていました。

受験の前日
「ちょっと行ってくる」と
母親に言って
家を出ました。

まだ
山陽新幹線が
開通していていなかった頃でしたから
特急で
前日に出かけたのです。

当日は
寒い日でしたが
真一は
窓際の
暖かい席でした。

運が味方したのか
発表の日の夜更けに
書留速達で合格証と
書類が送られてきました。

父親が
チャイムの音で
受け取りました。

父親の
呼ぶ声で
真一と母親は集まり
開封して
合格を知りました。

両親は
大いに喜んでくれました。

法学部でなかったので
おそるおそるでしたが
真一は
ホッとしました。