ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの71歳の老人の日記です

長編小説「昭和」その25

所々にある
用水池は
それぞれ決まっていて
清左衛門の村の
池は
少し上にあって
水を蓄えていました。

今津は
大昔は
武庫川の氾濫瀬で
石がごろごろの
ところでした。

この時代には
武庫川は
今の武庫川の位置にあって
JA東海道線国道2号線の間から
その支流の
枝川が
今津の方向に
流れていました。

流れていると言っても
JR東海道線以南は
大雨が降った時だけで
水が流れていて
平素は
石ころだけの
川底が見えるだけでした。

今津付近は
氾濫の時に流れてきた
大きな石が
山のように
そこらここらに
あるところでした。

そんなところですので
池になるところは
少し上にあったのです。

村人の
役に回った家が
水車を持って
池に赴き
水を
掻い出して
用水路に流します。

それを下流で
使うことになります。

水車を
回す役は
順番に回ってきて
清左衛門の家からも
叔父さんが
夜出かけていきました。

夜通し
回し続けることになります。

奇妙なのは
いくら
池を水を掻い出しても
少なくならないことでした。