その時 亀太郎とおますは 始めて心が 通じたように感じました。 言葉には出しませんが 笑顔がそれを意味していることを お互いに思いました。 昼食を 食べて 大八車を 引っ張りました。 4回目に 酒蔵に着いた時は まだ 西の空の太陽は 高かった。 亀太郎は 「今日はこれで終わりにしよう」と おますに言いました。 おますは 「まだ明るいので 行けます」と 答えたのです。 亀太郎は その言葉を聞いて 少し迷いました。 普通の人なら 一日2回なのに もう 今日は 4回も運んだので 充分だと考えられます。 亀太郎は おますの 真剣な目を見て 「もう一回行くか」といって 早足で 井戸に向かいました。 井戸に着いた時には もう薄暗くなっていて 井戸水を 桶に入れて 帰り始めた頃には 暗くなっていました。 初冬の 日は つるべ落とし すぐに真っ暗になりました。 その日は 一三夜で 月明かりで 酒蔵まで向かいました。 橋から落ちないように ゆっくりと進みました・