ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの68歳の老人の日記です

長編小説「昭和」その210

鶴松にとっては
ホッとしましたが
単に
少し時間が
先に伸びただけで
何の解決もありません。

心配して
母親は
鶴松に
「頑張って
家長を
継ぐと
言うんだよ」
優しく
言ってくれました。

鶴松は
その気持ちはあるのですが
口から
その言葉が
父親の前に行くと
出てきません。

冬の
農閑期ですが
できる仕事を
鶴松は
やっていました。

鶴松にとっては
頑張って
やっているつもりでしたが
みんなには
そうは見えなかったのです。

そうは見えないと言うことを
その視線で
鶴松は
わかりましたから
余計に
萎縮してしまって
動きが
ぎこちなくなって
悪循環になってしまいました。

度々
おますは
優しく言ってくれました。

年が明けて
事始めの日に
再び
清左衛門に呼ばれて
座敷に
正座しました。

鶴松は
「頑張って
家長をします」と
言おうと
心の中で
思っていました。