ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの68歳の老人の日記です

長編小説「昭和」その212

鶴松は
あとで生まれた伊之介との違いを
強く感じていました。

鶴松が
小さい時には
父親と
話したことなどない
伊之介は
何度も話している
母親は
伊之介の服を着せたり
お風呂に一緒に入ったりしているのに
鶴松には
そんな記憶がないのです。

父母に言わせれば
鶴松が
小さい時は
宮水運びが
最盛期で
仕事が
本当に忙しかったので
鶴松に
かかわれなかったのです。

逆に
伊之介が生まれたときは
既に
宮水運びは
ほとんどなくなっていて
それに
地主になっていて
手伝う人も
多くできていたから
時間に余裕があったのです。

それに何より
伊之介が生まれたことには
仕事をする
元気が
少しなくなって
子供と
遊んでいたのだというのが
原因のひとつです。

塾の先生は
「末っ子ほど可愛いのが
世の常」と
言っていましたので
鶴松は
その言葉を
逆にとって
「末っ子以外は
可愛くない

長男は可愛くない」と
父母の本当の心とは
全く正反対のことを
考えていたのです。

正座して
この考えが
頭の中で
膨張して
その考えだけが占めてしまいました