ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの68歳の老人の日記です

ブログ小説「ふたりで行くよ」その44

正弥のほうも
同じです。

懐かしい人に
会えないような
なにか
心の中に
穴が開いたような
気がしたのです。

仕事でも
ぼんやりすることが多くて
周りの人に
心配を掛けていました。

例の同僚の看護師は
いち早く
そのことに気がつきます。

だからといって
大学生にとって
医師試験は
重要ですから
どうすることも出来ません。

正弥に
「最近
千香先生が来なくなって
何か寂しそうね。

やっぱり好きな人に
会えないと
そうなりますよね。」と
慰めの言葉を
掛けました。

正弥は
突然の
その言葉に
びっくりして
黙ってしまいました。

正弥は
「好きな人」という言葉が
しっくりいかなかったのです。

正弥は
千香が好きとか言う相手では
無いと思っていました。

友達でもないし
親戚でもない
ましてや
恋人でもない
そんな存在だったのです。

そしてそんな存在だったことを
そのとき初めて知ったのです。

正弥は
だったら
「千香」の存在は
私にとって何と
自問しました。

考えても分かりませんでした。

懐かしい存在で
一緒にいたい存在であることは
分かりますが
そういう存在を
現代の言葉で
どのように
言い表すのか
分かりませんでした。

正弥は
”一緒に居たい”は
”家族になる”で
それは
”結婚する”という意味と
同じであると思うのですが
”結婚する”は
”好きである”ともとれます。

正弥は
千香が”好きである”かどうか
まったく分からなかったのです。