そして 順子は 出かけていきました。 近くのレストランで 課長と 野村と 順子は会いました。 課長は 野村に 順子を 「野村君のことを 遠くから見ていた 順子さんです。」 と紹介しました。 順子は 一瞬 どきっとしました。 前の世界では 見合いの時は どんな話をしたのか 全く思い出せません。 食事をとって ふたりだけで 外に出ました。 野村は 映画館にでも出かけようと 言ってくれました。 塚口駅前の 映画館へ ふたりで行きました。 そう言うと 前の世界でも映画館だったと思いました。 こんな時に 話す言葉と言えば 趣味だとか 旅行の話だとか 映画の話だとか わりと話が弾みました。 何しろ 順子は 見かけは若いですが 57歳で経験豊富だったし 何より相手の野村のことを よく知っていたから いろんな話が出来たのです。 しかし 順子は内心 心配でした。 博学の女性なんて おもしろくない 女性かも知れないと思ったのです。 野村は 国立大学出身の 研究員ですから やっぱり賢い女性が好きなのか それとも ちょっと お馬鹿な女性の方が良いのか 野村と話しながら 考えました。 前の世界では 普通にしていたら お互いに好きなっていたので 考えても わかりませんでした。