どんなことがあっても 前の世界と 同じようになるのなら 順子は 良かったと 思うようにしました。 一応 ふたりの娘は 幸せに結婚もでき 孫も生まれて 順子は 幸せだと 思うのです。 いや一応ではなく 絶対に幸せだと 思うのです。 だから 前の世界と 同じように事柄が進んで 同じ幸せの結果になることが 保証されているなら これに勝る 幸せはないと 確信しました。 だからといって 売店を辞めて 悠々自適に 主婦業を する気にもなりません。 やっぱり 順子の 性格では がんばるしかありません。 そんな感情を 野村に話すこともなく 時間は過ぎていきました。 日々が過ぎ 時代は バブルの崩壊 金融機関の破綻 そして 不景気がやってきます。 野村の勤めている会社も 例外ではありません。 本業の テレビチューナーが 機械式から 電子式に変わり 売り上げは なくなってしまいました。