湖子には 名誉欲とか 趣味とか 希望とか そんなものがないので 大学院に進んで 立派な学者になりたいという 願望もないのです。 逆に そのようなものがない妖精の もどかしさを感じたのです。 そんな事があって 湖子と和己は 4年生になりました。 4年生になると 卒論のための研究と 薬剤師の国家試験勉強が 主になります。 卒論研究については 教授が 「生薬の顕微鏡下の同定」という 研究課題を 与えてくれました。 卒論は 今までの延長で もう二年もしているので データも たまっていて 充分な量です。 それよりも国家試験の方が 問題でした。 湖子は 記憶力が 人以上ですので 問題はありません。 しかし 和己は 少し問題です。 和己も マジメですが 国家試験は 大変難しくて 湖子には 心配でした。 もし通らないと 結婚条件にも 合致しなくなります。 湖子は 和己の 受験勉強を 助けていたのですが 助けられるのは 少しだけでしたので 心配でした。