湖子が住んでいる 付近では 大きく家が潰れたのは 星子の家だけでした。 余震のなか 空には ヘリコプターが 飛び回り テレビでは 惨状が 映し出されていました。 目を覆うような 様子です。 和己は 「神はいないのでしょうか。 この地震で困っている人の中には 良い人もいるでしょうし」と 湖子に 何となく話しました。 湖子は ドッキリしました。 湖子は 妖精で 神の手足となって 働いています。 神さまは 現世のことは 大方を 自然の法則にまかしていたのです。 自然の法則に従って 進化して 人間が 生まれてきても その方針を 守ってきたのです。 それが 答なんですが 湖子が 和己に答えることは出来ません。 「本当にそうだね」というのが 精一杯でした。 人間として生きてきた 湖子は そのようにしか 言えなかったし 人間としては 神さまは 理不尽だと 感じました。 神さまに 進言してみようかとも 思ったのですが 神さまは そんな事は とうの昔に承知しての ことだろうし 神さまには なんかそうなんだと 思うことにしました。 湖子に人生は このジレンマが 続くのです。