ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの68歳の老人の日記です

小説『冴子』震災部分その10

店から遺体が
発見されたことを
岡山の
義理の父母に
電話で連絡しなければならないと
気が付きました。

公衆電話は
殆どなくなっているか
繋がらなくなっていましたが
避難所に
無料の電話があると
話しに聞きました。

そこで
近くの小学校へ
行きました。

電話が
机に並べてあり
そこに並んでいました。

倫子も並んで
電話を待ちました。

前の人の話は
かなり深刻でした。

妻と子供が家の下敷きになって
子供を
抱いて
妻が見つかったというものです。

父親と
話しているのでしょうか
泣き崩れていました。

そんな長い電話を
横で聞きながら待ちましたが
隣の電話が空いたので
倫子の番がやってきました。

メモ帳の
電話番号を
押して
岡山へ電話を繋ぎました。

すぐに
母親は出ました。

遺体が発見されたこと
検視に時間がかかること
明後日くらいに
近くの寺に安置されることを
伝えました。

母親は
倫子が
勇治を助けるために
全力を尽くしていたことを
河本さんから聞いていたので
労をねぎらう言葉を
倫子に掛けました。

もう
涙も出尽くして
その言葉を
じっと聞いていました。

明後日
行くといって
電話は切れました。

 


倫子は電話の後
家に帰ることにしました。

家の前まで来ると
アパートに
赤い紙が貼ってあって
「全壊 立ち入り禁止」と
書いてありました。

倫子は
それを見ても
何とも思いませんでした。

窓から入ろうとすると
家主が来て
「入ったらいけないと
市役所の人に
言われています。」と
伝えました。

避難所に
行くように言われて
初めて
近所の
小学校の避難所に行きました。

前は何度も通って
知っていましたが
入ってい見ると
どこも一杯です。

係員に言うと
体育館が
比較的空いていると言うことで
体育館に行ってみると
入り口付近に
少しだけ
余裕がありました。

毛布をもらって
そこに敷き
とりあえず
場所を決めました。

隣は
家族連れで
相当やかましい環境でした。

女性専用の
当時はなく
みんなで助け合って
いました。

避難所は
一応
朝昼晩の三食は
出ます。

最初の内は
菓子パンや
おにぎりが
主でした。

お風呂なんか当然無く
トイレも
くみ取り式の仮設のもので
いつも
並んでいました。