雪子は
この人生最大の難関を
どのように
克服するか
大問題でした。
歌にしても
歌自体を
覚えられないし
そうかと言って
真知子のように
そのまま覚えることも
簡単には
できません。
ただただ
記憶するしかないと
考えました。
人生始まって以来の
勉強です。
夏休み
それにかかりっきりでした。
家族にみんなも
いつも楽天的な
雪子の
変化に
驚いていました。
そんな長い夏休み
クラブ活動に励む
真知子を
応援するために
一度だけ
大学に行ったのです。
夏休みの
大学は
いつもと違って
閑散としていました。
学舎のまわりの
木にとまっている
蝉が
やたらやかましく鳴いているのが
耳に入ってきました。
真知子の卓球の試合を
応援していると
篠原君が
近づいてきました。
研究室に用事があって
来ていたのです。