コーヒーも終わって 水を飲みながら ふたりは 話し合います。 十詩子: どんな服でいいのかな 目立ったらいけないし。 悟: 別に何でもいいんじゃないの 今の服装でいいよ。 十詩子: これでいいの こんなワンピースでいいの 悟: あまり関心を持って みんなを見ていないけど そんな服を着ていると思うよ 十詩子: そうなの じゃこんな服で行こう 少し話さなくなって 悟: ケーキも頼まない? 十詩子: それはいいですね 頭を使うと 何かおなかが減るよね 悟: そうだね 砂糖は 頭の栄養だからね 甘いものがいいんだよ。 ふたりは ウエイトレスを呼びました。 ウエイトレスは 水を持ってきて 注文を聞いて 帰りました。 美味しそうな イチゴのショートケーキを 金の縁のある緑の皿に入れて 持ってきました。 ふたりは スプーンを持って 少しずつ 食べ始めました。 悟: 美味しいよね 十詩子: そうね。 私の母は いつも売っているものに 『美味しくないものはない』 と言うのが 口癖だったけど 私が 高校の入学祝いに 国道沿いの大きなケーキ屋さんで ケーキを買ったんだけど その味が もうひとつなんですよ。 母は今までの 常識を覆す そんなケーキがあって がっかりしたみたい。 でもこのケーキは 美味しいよね。 悟: そうなの 美味しくないケーキもあるんだ 一度食べに行きたいものだね 十詩子: まだありますよ 今度豊岡に来たときに 行ってみたらいいわ 悟: 楽しみしているよ いや 楽しみではないね 美味しくないのだから ふたりは ちょっと笑って 顔を見合いました。 それからもっと色々なことを話して 喫茶店を出て 楽しそうに 電車に乗って 塚口に帰りました。 水曜日にまた会うことを 約束して別れました。