ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの71歳の老人の日記です

2015-09-01から1ヶ月間の記事一覧

長編小説「昭和」その204

鶴松が15才になった時 清左衛門は 家を 変えることにしました。 今までの 家は 地主の家としては 手狭です。 収穫できた お米を 座敷まで積む 始末でした。 それに 清左衛門の 弟と妹も 同居していますが 縁側の隙間で寝起きしている始末です。 地主になれた…

長編小説「昭和」その203

塾での 勉強は 当時のことですから 漢文や儒学が主です。 「子曰、巧言令色、鮮矣仁」とか 言うのを 勉強しているのです。 儒学は 奥が深いから 終わりはありません。 鶴松は はじめは 難しいことを 父母に披露して 誉められたいため 熱心に勉強していました…

長編小説「昭和」その202

村人が 出払って 閑散とした時間に 街道筋を 一目散に 私塾に向かいました。 帰りは 夜なべ仕事が 終わる頃に 帰っていました。 そんな時間まで 私塾は やっていませんでしたが 早く帰りたくなかったので 自習していたのです。 始まったばかりの 小学校でも …

今日は観月会:お月見ですね

私の小さい頃 たぶん5歳頃までは お月見は 我が家の 行事では 大きなものです。 お月様は 水の神さま 農業は 水が大事ですから お月様を 敬愛するのは 貧乏な百姓としても 大事な 記念日です。 一家揃って 縁側で お月様をめでます。 そして 父親が お月様の…

長編小説「昭和」その121

当時は 医学というものが ほとんどなかった時代です。 病気になると 生死を分けるかも知れません。 事実 清左衛門の 下ふたりの兄弟は 10代で亡くなっています。 それに この高熱です。 実の親である 清左衛門や おますは心配しました。 その心配する 父母を…

女房殿はアルツハイマーからは遠いようだ。

先日 アルツハイマー病のスクーリング試験を受けました。 アルツハイマー病は 脳内にベーターアミロイドがたまって 障害を起こすそうですが それがたまっているかどうか 血液検査で間接的に 測定するらしいのです。 健康番組で 放送していたのを 聞いた女房…

長編小説「昭和」その200

そばで見ていた 母親のおますは 心の中で 「まだまだ12才なんだから 力仕事は 大変だ。 もっと見守ってあげないと」 と思いつつ みんなの手前 優しい言葉は 鶴松には かけられませんでした。 鶴松自身は 頑張って やっているつもりだけど みんなにそんな風に…

長編小説「昭和」その199

鶴松が 働き始めの時は まわりも そんな目で見ていて 働きが悪くても 文句など言いませんでした。 しかし 働き始めてから 1ヶ月も経つと 厳しい目になってきます。 鶴松は 親譲りで 12才にしては 背は高いです。 ひょろっと 高い鶴松が とろとろ仕事をしてい…

あなたはお仕事ですか

あなたは お仕事でしょうか。 今日は国民の祝日 ですって 、、、、、 カレンダーのまわりが 今年のようになるのは 2026年らしいので 貴重な 一日だったそうです。 たぶん次の 国民の祝日までは 生きられそうもないので 、、、、、、、 最近は サービス業にお…

長編小説「昭和」その118

清左衛門も 鶴松も 6才から 今津のお寺 浄願寺に 勉強のために通っていました。 いわゆる 寺子屋です。 明治5年になって 学制発布がされて 学校を作ることになりました。 今までの 教育拠点であった お寺が 今津小学校となりました。 明治6年のことです。 鶴…

長編小説「昭和」その117

家督を 相続した 新しい 清左衛門は 子供に 特に鶴松には 厳しかったのです。 母親は 少しは取り直しましたが 鶴松は 不満でした。 自分が 総領息子であることを 自覚していませんでした。 普通の子供が 良いと思っていたのです。 鶴松が 物心ついた時には …

長編小説「昭和」その116

伊之助が よちよち歩き始め 夏が 終わりかけた頃 清左衛門は 家督を 亀太郎に 譲ることにしました。 明治10年の初秋です。 清左衛門の家のものは 当時としては 長寿です。 当時の平均寿命は 50才くらいでしたが 清左衛門は 68才になっていました。 近頃は 朝…

長編小説「昭和」その115

「おとんぼ」とは 末っ子のことを言います。 伊之助が生まれた時 父親の亀太郎が44才 母親のおますは35才の時でした。 平均寿命が短かった 明治維新の頃ですので 35才は 相当高齢出産です。 おますは 出産後 1ヶ月は 普通の女性のように しっかり 横…

日本語の愛と英語のLOVEは違う

昨日 真宗の広報誌を見ていましたところ 英語のloveの訳語として 愛を当てているが 全く意味が違うと 指摘していました。 日本語の愛は 愛欲や 愛憎という熟語に代表されるように 本能としての 「愛」だそうで 人類愛とか 隣人愛とかいうような 誰彼なしに …

長編小説「昭和」その114

仕事が少し少なくなった頃 3番目の子供ができます。 女の子で およしと言います。 赤ちゃんの時から 器量よしで 家人には 人気がありました。 一番目の子供 おせいは 7才になっていて およしを よく面倒をみてくれました。 お乳を 与える以外は おせいが 育…

長編小説「昭和」その113

鶴松が生まれたあと おますは 赤ちゃんができませんでした。 避妊していていたわけでもありませんが あまりにも 過労からそうなったのかと あとになって わかりました。 自作地が 2町歩(2ヘクタール:2万平方メートル)になった頃 宮水運びは なくなってしま…

長編小説「昭和」その112

子供のいない時期は そんな スーパーウーマンの仕事ができました。 しかし子供ができても やはり おますは したのです。 亀太郎の 妹が 赤ちゃんの面倒を みてくれていたのです。 お乳をあげる時だけ 子供に会うとうい 日課でした。 一人目の おせいの時は …

9月27日生ドラムで防音室の公開実験を行います。

新しい防音室が出来上がりましたので 性能を調べたいと思います。 いつものように 特定波長の透過損失を測るやり方もしますが 今回は 生ドラムをレンタルで 設置して ドラマーの方を ボランティアでお願いしました。 防音室が 生ドラムで どの程度 耐えられ…

長編小説「昭和」その111

この時代の フォーマルな服装は 紋付き袴です。 袴はともかく 紋付きを 着るだけで フォーマルになります。 紋付きのような 一張羅(いっちょうらい: 1枚しかない上等なもの)や 綿入れ(綿のはいった着物)は 夏場 ほどいて 洗い張りをするのが 普通です。…

長編小説「昭和」その110

裁縫仕事は 着物の仕立てや 繕いだけではありません。 夏になると お布団も 洗わなければなりません。 お布団は 家財道具の中では 値高いものです。 お布団を 酷使しますので 痛みが激しいのです。 夏場 お布団を使わない時期に お布団の中の綿を 出して 覆…

藻川の堤防はあんな風には決壊しない

鬼怒川の決壊で 命を落とされた方のご冥福と 行方不明の方の即刻の生還を 心よりお祈りします。 被害を受けられた方の 早々の復興を祈念しております。 今日の夕刊に 鬼怒川の堤防が 決壊した断面が 大写しで掲載されていました。 全部土です。 土を固めた普…

長編小説「昭和」その109

服は もちろん 着物ですが 着物は 材料の 反物を 買って作ります。 現金収入の少ない 小作人には 相当の出費です。 反物を買って 着物を作るのです。 当時の女性は 裁縫は 必ず習得しなければ ならない技術です。 裁縫ができないものは 結婚は 絶対にできま…

長編小説「昭和」その108

底だけ鉄できた 桶で 燃えないのかと お思いでしょうが それが燃えないのです。 鉄の部分だけ 火が当たるような 仕掛けになっています。 焚き物は 薪ではなく 藁です。 今津は 薪が取れるような 入会地を持っていませんので 薪は買わなければならないのです…

長編小説「昭和」その107

おやつと言っても ケーキやポテトチップスのようなものは ありません。 麦飯のにぎりめしなら 最高ですが そのようなものが でることなど ありません。 サツマイモの 蒸し物や スイカとか そんなものが多いのです。 当時の サツマイモや スイカは 全く美味し…

長編小説「昭和」その106

昼前になると 家に帰ります。 昼のご飯の用意です。 灰の中の 炭の火種を 出して 炊事の開始です。 同じようなメニューです。 食材が 同じですから 季節で 先ず同じ メニューです。 時計がありませんので 太陽の位置で 昼かどうか 判断します。 お昼になると…

改正労働者派遣法が成立しそうです。

今国会の 最大の焦点である 安保法制は 山場となっています。 その影に隠れて 労働者派遣法が 改悪されそうです。 女房殿のリサーチによると 当地の近くの 大型店の店員の 多数は 派遣社員で 有期で勤務しています。 そのため 慣れた頃に 店にはいません。 3…

長編小説「昭和」その105

川というのは 農業用用水路です。 その中でも 水量の多いところでないと いけません。 清左衛門の家からは 少し離れていて 桶に 洗濯物を入れて 歩いて行きます。 洗濯場の 川には 洗濯がし易いように 一部だけ 石張りになっています。 洗濯物を 水に浸け 石…

長編小説「昭和」その104

当時は 食器洗いの洗剤など ありませんので 磨き砂が 唯一のものです。 磨き砂と言っても わからない人がいると思いますが 今風に言えば 「クレンザー」です。 当時は 前述の 歯磨き粉と同じように 六甲の 山から 取ってきた それに適した 微粒子の 粘土とい…

長編小説「昭和」その103

人間の食事と 牛のエサが 出来上がった頃 朝間の仕事から 帰って来ます。 冬なら 顔や手を洗うための お湯を 沸かして 用意します。 皆が お膳を 並べて 揃うと 大きな釜から ご飯を よそいます。 おますも 食べなければなりません。 何しろ 競争です。 食べ…

長編小説「昭和」その102

今と違い 家事全般は 時間が掛かります。 ひとつひとつ 仕事をこなす 必要があるのです。 その仕事のなかに 水汲みもあります。 清左衛門の家には 井戸がありません。 飲み水になる様な 水が出る 井戸は 里道を 1町(約109メートル)ばかし行った 共同井戸か…