「おとんぼ」とは 末っ子のことを言います。 伊之助が生まれた時 父親の亀太郎が44才 母親のおますは35才の時でした。 平均寿命が短かった 明治維新の頃ですので 35才は 相当高齢出産です。 おますは 出産後 1ヶ月は 普通の女性のように しっかり 横になって お布団を着て 寝ていました。 1ヶ月が過ぎて 仕事を はじめようとしましたが 少しふらついてしまいました。 長く寝ていたからかもしれないと 思いました。 それをみていた 長女のおせいは 私がやるから 寝ていてと言ってくれました。 それで 伊之助をあやしながら もう少し 休むことにしました。 それを見ていたのが 鶴松です。 襖の陰から ジッとうらやましくみていたのです。 伊之助と 二人っきりで 過ごした時間は 10日ほどでしたが 鶴松には それは 長い時間だと 感じていたのです。