ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの68歳の老人の日記です

長編小説「昭和」その117

家督を
相続した
新しい
清左衛門は
子供に
特に鶴松には
厳しかったのです。

母親は
少しは取り直しましたが
鶴松は
不満でした。

自分が
総領息子であることを
自覚していませんでした。

普通の子供が
良いと思っていたのです。

鶴松が
物心ついた時には
すでに
清左衛門の家は
小作人の
貧乏百姓ではなかったのです。

清左衛門が
子供の頃には
その日の食べ物が
充分になく
みんなで分けて
食べ合ったこともあったのです。

そんな事態は
今の
清左衛門の家には
起こることは
少なくなっていました。

贅沢はないけど
他の
お百姓さんより
身なりも
よくて
牛もいたので
重労働も
少なくなっていました。

それを見て
鶴松は
余裕があると
思っていたのです。

父母が
自分に厳しく当たるのは
今の言葉で言えば
「愛されていない」と
思ってしまったのです。