来て欲しくない 休みの日が来ました。 伸ばしても 仕方がないので 意を決して 子供に会いに行くことにしました。 10時頃に 向こうに着くように 家を出ました。 子供が住んでいる 伊丹は すぐそこですが 運転免許を取るために 行ってからは 足を運んだことは ありません。 駅から歩いて 家の前まで 来ました。 その家は 十年一日が如く 変わりません。 あのまま居たら 何も変わらず 時間が過ぎたのだろうと 思いましたが そんなことを考えても 始まらないと 気付いて やめました。 家のインターホンを 押しました。 テレビインターホンなのか 中から びっくりしたような 声が返ってきました。 しばらく時間が経つと 登のお母さんが 出てきました。 冴子が 軽くお辞儀をして 「その節はすみませんでした。 今日は 少しお話があって 参りました。 子供に会わして下さい」と 言いました。 「何を今更 どういうつもりですか。 あなたとは もう何も関係ありませんから 帰って下さい」 と ぞんざいに言われてしまいました。 家の中に入ろうとする 母親に 「あのときは すみませんでした。 子供に会わして下さい。 謝りたいんです。」と 大声で 言うのが精一杯でした。 家の中に入ってしまった 登の母親を ズーッと見ていました。 一度で 会えるとは 思っていませんでした。 夕方まで 待ってみようと 思いました。