その日は 従順に徹しました。 会話が弾まなくても 気を回さずに 順子は 黙って下を見て黙っていました。 順子は 絶対におしとやかに しようとしていたのです。 野村は 少し困ったようにも見えましたが 「そばにいれば幸せ」 のような顔をして 野村の後を付いて行きました。 映画館の後 喫茶店に入って 黙ってコーヒーを飲んでから 暗くならないうちに 寮まで送られて 帰りました。 順子は 送ってくれた 野村の背中を 見えなくなるまで 見送りました。 部屋に帰ると 冴子が聞いてきました。 冴子: どうだった。 楽しくできた。 野村さんにその服なら気に入られたでしょう。 やっぱり女は可愛くなくっちゃ 順子: 冴子ありがとう 今日は良かったわ やっぱり冴子の言う服を着ていって 冴子: そうでしょう。 やっぱり口紅は ピンクが良いのよ 服もピンクよね 順子: そうよね 昔はそうだったよね いやそうだよね 冴子: 昔って何? 順子: いや昔って 何でしょうね 順子の 57歳になって また訪れた 純愛は 冴子の応援や 課長や周りのみんなの応援で 実を結ぶことになります。 こんなお付き合いをしながら 二人は 課長に 仲人のお願いに行きます。