休み休みゆっくりと歩いて 十詩子の家が 間近に迫った時 向こうの方に たぶん高校生くらいの 男の子が立っていました。 悟は 目が良いので 顔はわかったのですが 十詩子は 近視?遠視なので 誰かわかりませんでした。 男の子は こちらを見て 少し会釈したら 角に隠れてしまいました。 しばらくして 何人かが 出てきました。 遠くからでも ハッキリわかるくらいの 老夫婦と 初老の夫婦 それに 若い人達でした。 だいぶ近づいてきたので 十詩子も わかって 「お父さんたちだわ」と言って 少し早足になりました。 悟も 力を振り絞って あとを付いていきました。 みんなで 出迎えてくれていたのです。 正月の静かな雰囲気が その場所だけ 破られました。 「今日はよく来たね」 「結婚するんだね」 「よかったね」 「おめでとう」などと 挨拶しました。