ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの71歳の老人の日記です

ブログ小説「和巳の恋」第3話

和巳は
席に座り
問題集を出して
最後の勉強をし始めました。

でも隣の男性が
和巳の方を向いて
寝ていたので
何となく落ち着きません。

和巳は
男性側の
左側の手で
ほほ杖をつきました。

そして男性の視線を
遮断しようとしたのです。
でも
ちらっと
男性を見ると
よく寝ているのか
目は閉じたままです。

和巳は
見るともなく
見ていました。

やがて試験官がやってきて
同じように
問題集を配り初めても
男性は寝たままです。

試験官が
問題集とマークシートを
どこに置くのだろう
和巳は気になって
しまいました。
しかし
試験官が問題集を
置こうとすると
さっと頭を上げたのです。

和巳は横から見ていて
「寝てなかったのかな。
分かっているのかしら。」
としげしげと
もう一度
男性を見ました。

男性の方も
視線を感じたのか
和巳の方を
見たので
目が合ってしまいました。

男性は少し笑みを浮かべていたので
和巳も
思わず
『愛想笑い』で
対応してしまいました。

それを見た
男性は
「どうも」と
小声を
和巳にかけたのです。

和巳も
「どうも」
と返事をしてしまいました。

こんな場所で
初めて知り合ったふたりでしたが
それからは
言葉もなく
お互いに
ちらっと見る
程度でした。

試験官が「はじめ」の
指示があったので
今までのことはなかった様に
問題を解き始めました。
和巳は
試験に熱中して
隣の男性のことなど
すっかり忘れてしまいました。